祭にっぽん

祭り囃子の発表を考えた

祭りという場があってこその祭り囃子なのだから、太鼓と囃子方だけで囃子を披露すると言うことに違和感を感じていました。祭りが無くなって囃子だけが残ったところで、それはひとかけらの断片でしか無い。 かといって発表の場に祭りを持…

遠音 祭りが終わる時 目次

長年暖めている物語です。 浅間大社近くの社人町と呼ばれた町内を舞台に、富士宮まつりや富士宮囃子に関わる人たちの思いを紡いでゆきます。 巻き込まれたもめ事が元で国を離れることになった男が、その後大恩ある師匠が祭りを続けるた…

遠音 10.祭りが終わる時

祭りが終わる時 もっちゃんの卒業 てっちゃんが笛を教えた後、もっちゃんに言った事がある。 「こんな状態で、何時までも続けては居られないだろう? そろそろ思い切って突き放せ。 最初は失敗もするだろうさ。 でも失敗を経験し乗…

遠音 8.「へんぽらい」

「へんぽらい」 祭りも終わり落ち着いた頃、かみさんに先立たれた私を気遣って、常連や同級生などが定期的に集う事になった。店の休みの日に、それぞれ飲み物やつまみを持ち寄って昔話に花を咲かせるのだ。 始まりは、下戸のたかちゃん…

遠音 5.笛吹きを労え

笛吹きを労え 笛を伝える 途絶えたんじゃないかと思われた笛吹きが、居たのは意外だった。 名前はもっちゃん。 会所の鍵開けから囃子の指導、祭りの準備から戸締まりまで毎日毎日やっている。 彼が囃子方を志した時、最初は皆きんど…

遠音 3.てっちゃんの決心

てっちゃんの決心 墓地の改修が終わる前に、てっちゃんがやせがまんで盲腸をこじれさせたので、病院での緊急手術に付き添った。死んでもおかしくないという医師の脅かしで、てっちゃんは最悪の事態も覚悟したようだ。私に手帳を渡し、東…