保存・伝承一覧

遠音 3.てっちゃんの決心

墓地の改修が終わる前に、てっちゃんがやせがまんで盲腸をこじれさせたので、病院での緊急手術に付き添った。死んでもおかしくないという医師の脅かしで、てっちゃんは最悪の事態も覚悟したようだ。私に手帳を渡し、東京の住まいを告げた。もしもの時には後始末を頼むというのだ。大げさな。

遠音 2.橋の上で

袢纏を脱いだのは町名を隠すためか。おまけに梃子棒まで持参とはただ事ではない。いきり立っている若者が梃子棒を放そうとしない。仲間がなだめようとしているようだが、頑として受け付けない。 これは殴り込みか。大事にならぬように、何とかしなけりゃならん。

遠音 1.社人町芙蓉亭

午後のちょっと客足の遠ざかる時間に幼なじみのたけちゃんがやって来た。 しばらくして若い女性が合流し、何やら話し込んでいる。そこに帰ってきたかみさんが、私に耳打ちした。買い物帰りに家の前まで来たら、見慣れない男が店を見ながら電話をしていたという。興信所だろうか?